ブランド帝国の素顔―LVMHモエヘネシー・ルイヴィトン (日経ビジネス人文庫)

ファッションの本

ブランドについての手引書ベルナール・アルノー率いるLVMHは、ディオール、ルイヴィトン、クリスチャンディオール、ケンゾー、セリーヌ、クリスチャンラクロア、ジバンシィら高級ブランドを抱える巨大コングロマリット。
ルイヴィトンの売り上げの4割は日本で、日本人のブランド志向は、ブランド品を貴族階級のものとしてあまり関心を寄せない欧米の庶民から見て異常に見えている。
90年代に有能なアメリカ、日本、イギリス、フランス、イタリア、スペインなどのデザイナーを起用するとともに積極的にM&Aを展開し(M&Aの展開はライブドアvsフジテレビ、村上ファンドvs阪神電鉄を先取りしている感がある)、伝統的で優秀な手作りの製品作り(例えばルイヴィトンはヴィージョニー皇后時代の伝統を受け継ぐ少数のマルティエたちによって手作りされている)とで高級ファッション品市場を席巻している。
著者の髭の長沢伸也は現在早稲田にいるがスマートな物腰と鋭い論理を用いて立命館時代にこれを書いた。
リーダーの後継者問題だけでなく、絶えず魅力的新製品を送り続けて行くことが出来るかどうかが、このブランド帝国の将来にかかっているといえよう。
歴史を知るにはいいけれどLVMHの歴史を多くのバックデータを元に整理してあるので、同社の歴史に関して知りたい、覚えて蘊蓄を傾けたい、という人にはお薦めできる本です。一方、コングロマリット化を図ることによる経営メリット等に関する考察はとっても表層的(というか当たり前の内容)なので、ラグジュアリーブランドのマネジメントに関して示唆を得たい、と思っている人には得るところがほとんどないでしょう。私は後者だったので、とても物足りなかったです。大ブランド帝国をビジネスとして分析あまりブランドに詳しくない日本人でもLVMH傘下のブランドのふたつやみっつは知っていることと思います。もともとヨーロッパ・ブランドというのは個人の卓越したセンスや技能あるいは伝統が評価されたものだと理解しますが、そんな業界にあってベルナール・アルノーがまたたく間に打ち立てた著名ブランドの集合体はそれぞれが持つ絶妙なブランドの個性のバランスの上に成り立っています。本書は時間を追って、ビジネス戦略としてわかりやすく説明してあり、ブランド・ビジネスの入門書、参考書とも言えます。個人的な希望を言わせてもらうと、アルノーの人間くさい側面や各ブランド持つの香り、感性といったものを筆者の独断と偏見でも良いので触れてもらえればさらに魅力的な著書になったと思います。付録のブランド・人物名鑑は役に立ちます。長沢 伸也ブランド帝国の素顔―LVMHモエヘネシー・ルイヴィトン (日経ビジネス人文庫)

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ブランドについての手引書ベルナール・アルノー率いるLVMHは、ディオール、ルイヴィトン、クリスチャンディオール、ケンゾー、セリーヌ、クリスチャンラクロア、ジバンシィら高級…